MDGs(Millennium Development Goals)とは?
MDGsとは「Millennium Development Goals」の略で、日本語では「ミレニアム開発目標」と呼ばれます。近年注目を集めるSDGsの前身で、2000年9月に採用された「国連ミレニアム宣言」のもとに、2015年までに達成すべき国際社会共通の目標としてまとめられました。MDGsが設定された背景には、特に1990年以降、飢餓・貧富の差、子どもたちの教育の機会の減少、感染症の蔓延、性別による労働環境の不平等、自然災害、ジェノサイドといった事例が国際的に問題となっていたことがあります。
MDGsには8つの目標がある
MDGsでは8つの目標、21のターゲット、60の指標が掲げられました。8つの目標はいわばMDGsの柱であり、一方、21のターゲットと60の指標はより具体的で細かい目標です。
MDGsは1990年を基準年、2015年を達成期限としており、国際社会は15年間をかけて目標の達成に取り組みました。そして達成期限の2015年には達成度、成果と状況が報告されました。ここからはそんなMDGsの8つの目標と、そこに含まれる21のターゲットを具体的に紹介します。
MDGsは1990年を基準年、2015年を達成期限としており、国際社会は15年間をかけて目標の達成に取り組みました。そして達成期限の2015年には達成度、成果と状況が報告されました。ここからはそんなMDGsの8つの目標と、そこに含まれる21のターゲットを具体的に紹介します。
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
A:1990年と比較して、1日当たりの収入が1米ドル未満の人口比率を2015年までに半減させる。
B:女性や若者を含むすべての人々に、完全(働く意思と能力を有する人が適正な賃金で雇用される状態)かつ生産的な雇用、また、ディーセント・ワーク(Ⅾecent Work:適切な仕事)を提供することを実現する。
C:1990年と比較して、世界で飢餓に苦しむ人口の割合を2015年までに半減させる。
B:女性や若者を含むすべての人々に、完全(働く意思と能力を有する人が適正な賃金で雇用される状態)かつ生産的な雇用、また、ディーセント・ワーク(Ⅾecent Work:適切な仕事)を提供することを実現する。
C:1990年と比較して、世界で飢餓に苦しむ人口の割合を2015年までに半減させる。
目標2:普遍的初等教育の達成
A:2015年までに、世界中のすべての子どもたちが性別の区別なく、初等教育の全課程を修了できるようにする。
目標3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
A:2005年までに初等・中等教育における男女間の格差の解消を達成する。さらに、2015年までにすべての教育レベルにおける男女間の格差の解消を達成する。
目標4:乳幼児死亡率の削減
A:1990年と比較して、2015年までに5歳未満の幼児の死亡率を3分の1に削減させる。
目標5:妊産婦の健康の改善
A:1990年と比較して、2015年までに妊産婦の死亡率を4分の1に削減させる。
B:2015年までにリプロダクティブ・ヘルス(Reproductive Health:性と生殖に関する健康)への普遍的なアクセス(必要とする誰もが利用できる機会を持つことができる状態)を実現する。
B:2015年までにリプロダクティブ・ヘルス(Reproductive Health:性と生殖に関する健康)への普遍的なアクセス(必要とする誰もが利用できる機会を持つことができる状態)を実現する。
目標6:HIV/エイズ、マラリア及びその他の疾病の蔓延防止
A:2015年までにHIV及びエイズの蔓延を阻止して、その後、感染者数を減少させる。
B:2010年までにHIV及びエイズの治療への普遍的なアクセスを実現する。
C:2015年までにマラリア及びその他の主要な疾病の蔓延を阻止して、その後、罹患者数を減少させる。
B:2010年までにHIV及びエイズの治療への普遍的なアクセスを実現する。
C:2015年までにマラリア及びその他の主要な疾病の蔓延を阻止して、その後、罹患者数を減少させる。
目標7:環境の持続可能性の確保
A:持続可能な開発の原則を各国の政策や戦略に反映させ、環境資源の喪失を阻止してその回復を図る。
B:2010年までに生物多様性の損失を有意及び確実に減少させる。また、その後も継続的に減少させ続ける。
C:2015年までに安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる。
D:2020年までに世界にいる最低1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。
B:2010年までに生物多様性の損失を有意及び確実に減少させる。また、その後も継続的に減少させ続ける。
C:2015年までに安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる。
D:2020年までに世界にいる最低1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。
目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
A:開放的でルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易及び金融システムのさらなる構築を推進する。ここには、グッド・ガバナンス(Good Governance:良い統治)、開発及び貧困削減に対する国内及び国際的な公約が含まれる。
B:後発開発途上国(LDC)の特別なニーズ(下記)に取り組む。
・LDCからの輸入品に対する無関税・無枠
・重債務貧困国に対する債務救済及び二国間債務の帳消しのための拡大プログラム
・上記には、貧困削減に取り組む諸国に対するより寛大なODA(Official Development Assistance:政府開発援助)の提供が含まれる。
C:内陸国及び小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。(小島嶼開発途上国のための持続可能な開発プログラムおよび第22回国連総会の規定に基づく。)
D:国内及び国際的な措置を通じて、開発途上国の債務問題に包括的に取り組み、債務を長期的に持続可能なものにする。
E:製薬会社と協力し、開発途上国の人々が必須とする医薬品を安価に入手して利用できるようにする。
F:民間セクターと協力し、特に情報・通信において新技術による利益が得られるようにする。
B:後発開発途上国(LDC)の特別なニーズ(下記)に取り組む。
・LDCからの輸入品に対する無関税・無枠
・重債務貧困国に対する債務救済及び二国間債務の帳消しのための拡大プログラム
・上記には、貧困削減に取り組む諸国に対するより寛大なODA(Official Development Assistance:政府開発援助)の提供が含まれる。
C:内陸国及び小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。(小島嶼開発途上国のための持続可能な開発プログラムおよび第22回国連総会の規定に基づく。)
D:国内及び国際的な措置を通じて、開発途上国の債務問題に包括的に取り組み、債務を長期的に持続可能なものにする。
E:製薬会社と協力し、開発途上国の人々が必須とする医薬品を安価に入手して利用できるようにする。
F:民間セクターと協力し、特に情報・通信において新技術による利益が得られるようにする。
MDGs目標の成果と未達成の課題
2015年末を達成期限としていたMDGs。2015年最終報告書において報告・公開された達成状況を通覧して大まかに言えるのは、「目標の一部は達成されたが、達成されなかった項目や課題も残った」ということです。
ここでは、8つの目標のなかからいくつかの目標をサンプルとしてピックアップし、成果が出た点と課題が残った点を紹介します。
ここでは、8つの目標のなかからいくつかの目標をサンプルとしてピックアップし、成果が出た点と課題が残った点を紹介します。
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
1990年に比べて約10億人もの人々が極度の貧困から脱却することができ、貧困率の削減に成功しました。さらに、途上国・地域における栄養不良の人々の割合も、「ほぼ半減の見込み」と報告され、5歳未満のうち低体重の子どもの割合も1990年から2015年の間にほぼ半減しています。しかし、貧困と飢餓を完全に撲滅できたわけではありません。
目標4:幼児死亡率の引き下げ
5歳未満の幼児の年間死亡率は、1990年に比べて2015年では半分以下に減少しました。一方で、毎日1万人を超える子どもたちが、5歳を迎える前に亡くなっています。その死因となっている病気の大半は、医療体制が充実していれば予防が可能なものなのです。この事実から、誰もが医療にアクセスできるインフラを整えるための継続的な取り組みが今後も必要なことがわかります。
目標7:環境の持続可能性の確保
改善された水源から安全な飲料水を入手して利用できる人の割合は、1990年の76%から91%へ向上しました。より具体的にいうと、1990年から2015年末までに、26億人が新たに安全な飲料水を利用できるようになったそうです。
また、2015年の時点で世界人口の68%が改善された衛生設備を利用しており、1990年以降21億人が新たに利用できるようになりました。その一方で、都会から離れた辺境に暮らす人々や社会から疎外されている人々ほど、トイレが利用できないなどの課題も残されています。
また、2015年の時点で世界人口の68%が改善された衛生設備を利用しており、1990年以降21億人が新たに利用できるようになりました。その一方で、都会から離れた辺境に暮らす人々や社会から疎外されている人々ほど、トイレが利用できないなどの課題も残されています。
MDGsからSDGsへ
MDGsは一定の成果を出しましたが、先述の通り達成できなかった目標や項目もありました。そのため、2015年で取り組みを終わらせるわけにはいかず、2016年以降もMDGsで解決しなかった課題や新たな環境問題・社会課題に対応し、アクションをとる必要性がありました。このような背景で新たに誕生したのが「SDGs」なのです。
SDGsとMDGsとの違いは?
SDGsは「ustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれます。2015年9月の国連サミットで採択され、国連加盟193か国が2016年から2030年にかけて、達成すべき目標が定められています。MDGsの目標は8つでしたが、SDGsでは17の目標があり、格差をなくすこと、そして「誰ひとり取り残さない」ことを核としています。
MDGsとの違いは、MDGsの取り組みをさらに強化するとともに、新しい課題も加えられた包括的な目標に取り組むことです。また、取り組みの主体にも違いがあり、MDGsでは国連や政府でしたが、SDGsでは民間企業や個人も含まれます。さらにMDGsの目的は主に発展途上国の課題解決でしたが、SDGsでは発展途上国だけでなく先進国の課題も解決することも目的としています。
MDGsとの違いは、MDGsの取り組みをさらに強化するとともに、新しい課題も加えられた包括的な目標に取り組むことです。また、取り組みの主体にも違いがあり、MDGsでは国連や政府でしたが、SDGsでは民間企業や個人も含まれます。さらにMDGsの目的は主に発展途上国の課題解決でしたが、SDGsでは発展途上国だけでなく先進国の課題も解決することも目的としています。
MDGsからSDGsになった理由
既にご紹介した通り、MDGsではすべての目標を達成することはできませんでした。しかし、その努力が無駄になったわけではありません。その成果は決して小さなものではなく、MDGsの成果を検討することで、今後の課題が明確になったことは大きな収穫と言えるでしょう。たとえば、MDGsでは開発途上国の問題を主に取り扱い、「先進諸国が開発途上国を支援する」という位置づけにありましたが、この枠組みではカバーできない課題があることがわかりました。具体的には、
例)「気候変動」のような地球規模の課題
・あらゆる国が同じ方向性を持って取り組まなければいけない
・先進諸国にも男女間の不平等など解決すべき問題がある
などです。こうして、先進国・開発途上国を問わず、すべての国が共有して取り組めるような目標設定がふさわしいと考えられるようになり、SDGsが誕生しました。
例)「気候変動」のような地球規模の課題
・あらゆる国が同じ方向性を持って取り組まなければいけない
・先進諸国にも男女間の不平等など解決すべき問題がある
などです。こうして、先進国・開発途上国を問わず、すべての国が共有して取り組めるような目標設定がふさわしいと考えられるようになり、SDGsが誕生しました。
SDGsは一人ひとりの取り組みが大切
SDGsでは全世界の国々や地域が取り組む課題として、発展途上国・先進国の区別を超えて、より幅広い分野での改善のために、世界が一丸となって努力することが求められています。その努力の過程では、行政のみならず、国や地域に暮らす私たち一人ひとりの意識の高さも重要になります。
「誰ひとり取り残さない」というのがSDGsの柱となる考え方ですが、他者を助けるためには、まず一人ひとりが自覚を持って生き方やライフスタイルを見直し、改善することが第一歩。
すべての人のための目標達成を実現する早道はこの記事を書いている私や、今読んでくださったあなたが一歩踏み出すことが大切なのです。
「誰ひとり取り残さない」というのがSDGsの柱となる考え方ですが、他者を助けるためには、まず一人ひとりが自覚を持って生き方やライフスタイルを見直し、改善することが第一歩。
すべての人のための目標達成を実現する早道はこの記事を書いている私や、今読んでくださったあなたが一歩踏み出すことが大切なのです。