プラスチックフリーな生活とは?今すぐ私たちにできる8つの取り組み

プラスチックフリーな生活とは?今すぐ私たちにできる8つの取り組み

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プラスチックフリーとは、プラスチックを使わないことを意味します。この記事では、近年話題のプラスチックフリーについて、その概要やプラスチックが持つ問題点を解説します。そして、環境課題でもあるプラスチック問題に取り組むために、個人で今すぐ始められる行動もご紹介します。暮らしに溢れているプラスチックだからこそ、小さな行動からその問題に取り組むことが可能です。ライフスタイルを見直したり、エコライフへのモチベーションを高めるきっかけに、プラスチックフリーについて理解を深めましょう。

プラスチックフリーとは?

プラスチックフリー」とは、端的に言えば「プラスチックを使わないこと」を意味します。プラスチックを使っていない商品そのもの、あるいはプラスチック製品を使わないライフスタイルを指す言葉です。似た言葉として、「脱プラスチック(脱プラ)」や「ノープラスチック(ノープラ)」があります。

現代においてプラスチックは、日常生活に不可欠なものとなっています。利便性やコストなどのメリットがある反面、自然分解されないことから、地球環境と私たちの暮らしに悪影響を及ぼすことが懸念されています。そのため、今後プラスチックをどう減らしていくかが課題となり、プラスチックフリーの生活をしようという声が上がり始めました。そして現在、世界規模でさまざまな取り組みが行われています。

プラスチックが及ぼす具体的な影響とは

先に述べた通り、プラスチックは地球環境に悪影響を及ぼすことが懸念されています。具体的にどういった影響があるのかをご紹介します。

まずは資源への影響です。プラスチックの原料である石油は有限な資源であるため、プラスチックを使用し続けると資源枯渇につながることが指摘されています。

次に、海や生態系への影響です。ゴミとして捨てられたプラスチックは、生ゴミなどとは違い自然に分解されず海に永く残り続け、自然環境を汚染してしまいます。実際に、クジラやウミガメ、海鳥、魚の体内からプラスチックが出たという報告もあり、生態系を含めた海洋環境への影響が出ています。

また、大きさが5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれるプラスチックによる海洋汚染が深刻で、SDGsで掲げられている複数の目標にも関連しています。さらに、プラスチックに含まれる有害な物質により、水産業やその水産品を口にする人の体への被害も懸念されています。

毎年7月は「プラスチックフリージュライ」

「プラスチックフリージュライ」とは、毎年7月をプラスチックフリーの強化月とし、使い捨てプラスチックの使用を控えることを目指す活動です。

2011年にオーストラリア・パースの近郊に暮らす女性レベッカ・プリンスルイスさんによって始められ、現在大きなトレンドとなっています。

同氏は近隣の資源ゴミのリサイクル施設に足を運んだ際、大量のゴミに衝撃を受けました。それをきっかけに、プラスチック廃棄物問題に取り組むキャンペーンを始め、2011年にPlastic Free Julyの団体を設立。初期の参加者は職場の同僚や近所の住人などわずか40人程度だったそうですが、世界中で賛同する人が増え、2021年7月には世界で190か国、約1億人4千万人が参加するまでに活動の輪が広がっています。

今すぐ私たちにできる8つの身近な取り組み

プラスチックフリーを目指すといっても、個人の生活からプラスチックを全て排除することは難しいことです。また、今家にあるプラスチック製品をまだ使えるのに捨ててしまうのは、プラスチックのゴミを増やすだけなのでエコとは言えません。

今あるものを大事にしながら、今後プラスチック製品を新たに買うことを控え、プラスチックに代わる製品を採り入れていくことが大切です。ここからは、プラスチックフリーのために手軽に始められる8つの取り組みを紹介します。

エコバッグを使う

日本では2020年7月、プラスチック製の買物袋を扱う小売業者を対象に、レジ袋の有料化がスタートしました。これをきっかけに、エコバッグを使うことが習慣化したという方も多いでしょう。

エコバッグはとくに食料品の買い物の際に使うイメージがありますが、外出時に常に携帯しておけば、予定外の買い物やコンビニでのちょっとした買い物でもレジ袋を買う必要がなくなります。ただし、エコバッグとはいえ製造過程では環境に与える負荷が生じます。そのため何回もエコバッグを買うのではなく、1つのエコバッグを使い続けることを心がけましょう。

マイボトルを持ち歩く

マイボトル
日本ではペットボトルが1秒間に約740本も消費されており(※2016年時点)、生活に深く浸透しています。しかし、近年は環境への意識が高まるとともに学校や職場にマイボトルを持参する人も増え、マイボトル用の給水スタンドを設置する自治体や大学も現れています。

これからマイボトルを新しく購入する場合は、植物繊維であるセルロースを主原料にしたものなど、より環境に配慮したサステナブルな商品を選ぶとよいでしょう。
また、水用のマイボトル以外にも、カフェなどでドリンクメニューのテイクアウトに使えるタンブラーやシリコンカップを持ち歩くのもおすすめです。

蜜蝋ラップを使う

食材を保存する際は、食品用ラップの代わりに蜜蝋ラップを使いましょう。布生地に蜜蝋やホホバオイル、ココナッツオイルなどの天然樹脂を染み込ませた蜜蝋ラップは、一度使っただけですぐにゴミになってしまう通常のラップとは異なり、洗って何度も使えます。

また、自然素材で作られているため、食材に触れても安心。サイズも豊富に展開されており、食材や用途に合わせて使い分けることも可能です。さらに色やデザインに凝ったものが多く、食生活の気分を上げてくれる効果も。蜜蝋ラップ以外の選択肢としては、熱に強くレンジ調理に便利なシリコンラップもあります。

シリコン製の弁当箱を使う

プラスチックは軽くて丈夫で手入れも簡単なことから、弁当箱の原料としてもよく起用されてきました。しかしこれからプラスチックフリーを目指して弁当箱を買い足す際は、シリコン製の弁当箱、保存容器を選んでみてはいかがでしょうか。

シリコンはプラスチックとは違って柔軟性があって折りたためるものが多く、食べた後はコンパクトに収納できるのが嬉しいところ。さらに電子レンジ・冷凍・食洗器に対応しているものが多いので、何かと便利です。また、弁当箱としてはもちろん、量り売りの商品や外食で食べきれなかった分を入れて持ち帰るなど、幅広い用途で使えます。

量り売りや詰め替えを利用する

スーパーマーケットでは残念ながら多くの野菜や果物をはじめ、たくさんの食品がプラスチックの袋や容器に包装されて売られています。そこで利用したいのが、量り売りしてくれる個人商店やマルシェです。購入したものを持参した容器に入れて購入することで、包材や容器ゴミを大幅に減らすことができます。

また最近では、大型店でも量り売りコーナーを設けたり、食品や日用品の量り売り専門店が登場したりするなど、量り売り文化が少しづつ普及しはじめています。近所に量り売り店がない場合は、洗剤類は詰め替え用を買うことがおすすめですよ。紙パックのパッケージのものを選べば、よりエシカルです。

マイストローやマイ箸などのマイカトラリーを持ち歩く

自分の箸やスプーン、フォークを携帯しておけば、コンビニなどでお弁当などを買ってもプラスチック製のカラトリーを使う必要がありません。新しく買うのではなく、既に自宅にあるものをしっかり洗浄したうえで袋やケースに入れて衛生的に持ち歩きましょう。

さらに、ステンレス製や竹など、繰り返し使える植物由来のストローを携帯しておくと良いですよ。飲食店などでドリンクを注文する時に、使い捨てのプラスチックストローが不用になります。エコなストローは素材や太さ、口当たり、デザインもさまざまなので、お気に入りのストローを見つけてみてくださいね。

固形石鹸を使う

固形石鹸 プラスチックフリー
シャンプーやコンディショナー、ボディソープなどお風呂の中で使うものはたいていプラスチックボトル入り。液体シャンプーやコンディショナーを止めて固形石鹸型のシャンプー(シャンプーバー)やコンディショナーに代えることで、プラスチックボトルを大幅に排除できます。

シャンプーバーの使い方はカンタンで、濡らした髪に石鹸をスライドさせて泡立てて洗うだけ。液体を濃縮して固形化しているので、液体よりも長持ちする傾向がある点も魅力です。また固形石鹸には環境と肌に配慮して自然素材のみを使った商品も多く、肌への優しさも期待できます。

プラスチックフリーパッケージの化粧品を選ぶ

化粧品の容器にも注目してみましょう。従来、コストの低さと汎用性の高さからプラスチックが使われてきましたが、最近はガラスや木製のボトルもしくはジャー、アルミ製の蓋などを使ったもの、そして紙製やメタル製パッケージの製品が徐々に増えています。一般的に、ケミカルな成分を極力使わないナチュラルコスメブランドや肌への安全性にこだわるブランドには、プラスチックフリーの容器やリサイクル可能な容器を採用したり、使用済み容器の回収に取り組んだりと、環境問題に取り組む企業が多くあります。

例えば、カラフルな石鹸やバスボムで有名なLUSH(ラッシュ)も、実は海洋プラスチックごみ問題にとても意識が高い企業です。多くの商品が無包装で販売されていたり、通販の梱包時にはコーンスターチの緩衝材を使用したり、そのほかにも「国境なき海ごみキャンペーン」やスタッフによるゴミ拾い活動「plastic grab」を実施するなど、ものづくりにとどまらない社会的活動を積極的に行っています。

プラスチックを生活からなくすことは難しいですが、今あるプラスチックを大切にしたり、プラスチックゴミはキレイに洗って分別しゴミ箱に入れる、量り売りを利用して個包装で使われるプラスチックを減らすなど、身近なことでも取り組むことができます。私たちの未来のために、今ある資源を有効活用しましょう。
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