フードロス(食品ロス)の発生原因や対策を知って、アクションを起こそう!

フードロス(食品ロス)の発生原因や対策を知って、アクションを起こそう!

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フードロスという言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。フードロスは、単にもったいないというだけではなく、環境負荷や食料の不均衡、廃棄物処理費用の増大など、さまざまな社会問題を引き起こしています。フードロスの現状や対策を知って、私たちにできることを考えてみましょう。

フードロスとは?

フードロス(食品ロス)とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。調理に使い切れずに捨てられたもの、賞味期限や消費期限が切れて捨てられたもの、調理の過程で食べられる部分が捨てられたもの、食べきれずに捨てられたものなどがこれにあたります。

フードロスは、大きく分けると事業活動によって発生するものと、各家庭から発生するものの2つに分けられます。令和2年度の推計値によると、日本における食品ロスの発生量は、事業系で275万トン、家庭系で247万トン、合計522万トンです。これを日本人一人当たりに換算すると、1年で約41キログラムになり、これは毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと同じくらいの量になります。

フードロスが問題視されている理由

フードロスは日本だけの問題ではありません。また、フードロスは食糧問題に留まらず、国際社会が直面しているさまざまな社会問題の要因にもなっています。

1.世界中で食糧難が多発している

世界では紛争や貧困、自然災害などにより食糧難が多発しています。今後、新型コロナウイルスによる景気後退のために飢餓に陥る人も増えるでしょう。今や食糧難は発展途上国だけの問題ではありません。日本国内でも、満足に食事ができない貧困家庭が増えています。飢えに苦しむ人がいる一方で、安易に食べ物を捨てる行為は人道的な面でも問題です。

WFP(国連世界食糧計画)のWebサイトでは、「世界の食糧生産量のうち、3分の1が廃棄されていて、食べられずに捨てられた食料は世界の20億人分にあたる」と紹介されています。つまり、フードロスさえなければ世界中の人が飢えずに済むだけの食料はあるのです。

世界では人口が増え続けているため、フードロス問題をこのまま放置すれば、必要な人に食料が行き渡らず、将来はさらに深刻な食料不足が起きると予想されます。世界中の人が飢餓に苦しまないようにするためにも、フードロスを削減し、食糧の不均衡を改善しなければなりません。

2.環境負荷が高い

フードロスが増えると、環境負荷も高まります。廃棄された食品は、日本のように焼却処分する国もあれば、埋め立て処分する国もあります。焼却の際にはCO2(二酸化炭素)が発生しますし、埋め立ての場合はメタンガスが発生します。CO2とメタンガスはいずれも地球温暖化をもたらす温室効果ガスであり、メタンガスの温室効果はCO2の約25倍です。

フードロスにより排出される温室効果ガスは、排出量全体の約8%を占めています。これは飛行機から排出される量(1.4%)を上回り、自動車から排出される量(10%)に匹敵します。

3.経済的な損失も大きい

フードロスによる経済的な損失も見逃せません。家庭におけるフードロスは、家計に占める食費の割合は約4分の1になり、お金を捨てることとほぼ同じです。買った食品をすべて使い切れば食費の節約にもなり、家計にゆとりが生まれるはずです。

食品には、生産や流通過程において多くのコストがかかっています。食品を無駄にすることは、石油などから作り出されるエネルギーをはじめ、生産、加工、包装、流通、保管、調理など、食品に関わるすべての過程で、生産者や労働者が費やした労働や時間を無駄にすることになります。フードロスを減らして、食品を取り巻くシステム全体の無駄を減らすことができれば、働き改革に貢献することにもなるのです。

どこでフードロスが発生しているの?

野菜 破棄 フードロス
先述したように、フードロスの出所は大きく分けて小売店や飲食店などの事業系と、一般家庭の家庭系の2つになります。それぞれの割合は事業系が53%、家庭系が47%です。ただし、この数字には畑や港で捨てられている生産調整や規格外の野菜や水産物、備蓄食品の廃棄分は含まれていません。したがって、実際のフードロスはさらに多いと考えられます。

食品製造業、小売業、外食産業をはじめとする食品関連事業では、それぞれの事業ごとにフードロスが発生しています。食品製造業では、パンの耳や肉の脂身などの製造工程で発生するものや、返品などがあります。食品卸や小売業では、返品、納品期限切れ、売れ残り、破損品などが発生します。外食産業では、本来は食べられる部位などが調理過程で廃棄されますし、余った調理済みの料理や客の食べ残しなどがフードロスになります。

家庭から出るフードロスは、買いすぎや作りすぎのほか、野菜の皮や肉の脂身など、食べられる部分を過剰に取り除くことで発生します。家庭から出される生ゴミには、手つかずのまま捨てられている食品が2割もあり、そのうちの4分の1は賞味期限前に捨てられています。これらは、ちょっとした意識や工夫により減らすことができるはずです。

フードロス削減のためにできること

野菜 破棄 フードロス
日本では、ようやく官民が連携してフードロス対策に取り組み始めています。フードロスを削減するために、私たちひとりひとりの心がけや意識も大切です。

1.食材を無駄にしない献立術・調理法を身につける

まずは、買った食材を無駄なく使い切ることを心がけましょう。スーパーで安売りのものを無計画に買ってしまうと、結局は使い切れずに余らせてしまいがちです。買い物に行く前に、冷蔵庫などの食材を把握したうえで、おおよその一週間分の献立を組み立てておきましょう。
大容量パックはお買い得ではありますが、少量パックを選んだ方が結局はお得になる場合もあります。野菜などは鮮度とともに栄養価も下がるため、少量パックであれば栄養価が高いうちに使い切ることができます。
かつて、厚生労働省より食生活の目安として「1日30品目」が提唱されていました。しかし、今は「主食、主菜、副菜をバランス良く食べる」が指針になっています。無理をして品数を増やす必要がない分、食材の管理がしやすくなり、無駄も減らせます。
野菜の調理方法も見直してみましょう。人参、かぶ、大根などは皮をむくもの、という思い込みがあるかもしれませんが、実は皮付きの方が栄養価は高くなります。硬くて捨てられてしまいがちなキャベツの外葉も、内葉よりビタミンCが豊富です。皮付きや外葉は食べにくいと感じるかもしれませんが、調理方法を工夫することでおいしく食べることができます。野菜は新鮮なうちに皮や外葉も含め、余すところなく食べ切りましょう。

2.「てまえどり」を実践する

購買行動の見直しも大切です。多くの場合、スーパーなどの食品陳列棚では、消費期限や賞味期限が迫っている商品を手前に並べています。
すぐに食べる予定の食品は、商品棚の手前にある商品を購入するようにしましょう。小売業では消費期限が過ぎた食品は廃棄せざるを得ません。販売期限の迫った商品を積極的に選ぶ「てまえどり」の購買行動を実践することで食品ロス削減になります。

3.食べきれなかったものは冷凍する

野菜 破棄 フードロス
使い切れなかった食品や、食べ切れなかった料理は冷凍保存しましょう。調理前の肉や魚、きのこ類などを冷凍している人は多いでしょう。実は野菜も種類によりますが、ボイルやレンジ加熱により冷凍できるようになります。冷凍できる野菜の種類がわからない場合は、インターネットなどで調べてみると良いでしょう。

4.真空パック食品や真空パック機を利用する

食品を長期保存することができれば、食品ロスを減らせます。一昔前に比べると、食品の保存技術は格段に向上しており、すでにさまざまな新しい技術が採用されています。

「真空スキンパック包装」もそのひとつです。スーパーの食肉売り場などで、プラスチックフィルムで密着包装された肉を見たことがある人もいるでしょう。真空パックにすると、空気中の酸素や微生物による酸化や腐敗を抑え、鮮度を保持できます。

家庭で使えるタッパー型の真空保存容器やジッパー袋、真空シーラーなどもあります。これらを使用することで食品の長期保存が可能になるので、食品を使い切る自信がない人は導入を検討してみると良いでしょう。

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5.フードロス支援サイトを利用する

フードロス問題に積極的に取り組んでいる企業の商品を選ぶことも、削減アクションのひとつです。賞味期限が近い食品や、パッケージに破損がある訳あり食品などを販売するサイトや、規格外などの訳あり野菜などを産地から直接購入できるフリマアプリなどがあります。
割引価格で購入できるので、利用してみてはいかがでしょうか。以下にフードロス支援サイトをいくつか紹介します。
KURADASHI
 
フードロス削減に賛同するメーカーから、協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFで販売。売上の一部を社会貢献活動団体へと寄付する社会貢献型のショッピングサイトです。
豊洲市場ドットコム

イベントの中止、店舗営業の自粛により買い手がつかなかった食品や、賞味期限切れ間近の食品、訳あり食品などのお買い得商品を市場や産地から直接お届け。フードロスを削減し、食卓を豊かにするためのサイトです。
junijuni

賞味期限が間近な商品や訳あり商品をメーカー等から買い取り、お手頃価格でお届けするサイトです。食品以外に日用品やペット用品などもあります。

6.フードバンク・フードドライブに寄付する

フードバンクとは、各家庭や食品関連企業から、フードロスになりそうな食品を引き取り、福祉施設等へ無償で提供する団体や活動のことです。
また、フードドライブとは、各家庭で使い切れない未使用食品を持ち寄り、それらをまとめてフードバンク団体や地域の福祉施設、団体などに寄贈する活動です。使い切れない食材が出そうな場合は、早めにこうした活動をしているところに寄付するのも良いでしょう。

これまで紹介してきたフードロス削減方法や取り組みは、いずれもすぐに実践できるものばかりです。ほかにもできることはたくさんあるので、さまざまなアプローチ方法でフードロスを削減していきましょう。
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