離乳食はなぜ必要?
離乳食とは、母乳やミルクだけでは不足してくる栄養素をさまざまな食材から取り入れながら幼児食へと移行するまでの食事のことです。
赤ちゃんが成長するにつれて、必要となるエネルギーや栄養素は増えていきます。母乳や育児用ミルクだけではこれらが不足するようになるため、離乳食が必要になるのです。ただし、離乳食とは母乳やミルクをやめることではありません。他の食品からも栄養を取り入れ、幼児食へと移行する過程の食事と捉えましょう。
「飲む」乳汁から、「噛んで食べる」幼児食へ移行することが大切です。月齢に合わせてミルクと離乳食の割合、食品の固さや大きさなどを変え、食べ物に少しずつ慣れさせましょう。離乳食を取り入れながら噛んで飲み込むトレーニングを行い、様々な食品の食感や味を覚えていきます。
離乳食の始めどきのサイン
赤ちゃんの発育・発達には個人差がありますが、離乳食を始める目安は5~6か月頃といわれています。以下のようなサインが出始めたら、離乳食を検討してもよいでしょう。
・寝返りを打てる
・首がしっかりとすわっている
・5秒ほど座れる
・スプーンなどを口に入れても押し出すことが少ない
・大人が食べているものに興味を示す
・授乳のリズムが整っている
・首がしっかりとすわっている
・5秒ほど座れる
・スプーンなどを口に入れても押し出すことが少ない
・大人が食べているものに興味を示す
・授乳のリズムが整っている
ただし、これらはあくまで目安です。すべてを満たしていない場合でも、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ進めて構いません。離乳食は赤ちゃんの機嫌がよく、ご両親にもゆとりがある時にスタートするのがおすすめです。自分で判断が難しいという場合は、保健師に相談してみてはいかがでしょうか。
離乳食の進め方(生後5〜6か月頃)
ここでは、離乳食初期の与え方について紹介します。お伝えする量はあくまで目安なので、赤ちゃんの成長や発達、食欲などに応じて調整しましょう。
<1~7日目>初日は小さじ1、3~4日かけて小さじ3まで増やす
初めて離乳食を与えるときは、1日に1回、昼前後の授乳の時間を選びましょう。授乳の前に食べさせるのが理想ですが、赤ちゃんの機嫌や食欲、ご両親の都合などによって、落ち着いて食べさせられるタイミングで結構です。初めはアレルギーの心配がなく、消化のよい10倍がゆ(米1:水10)をなめらかにすりつぶしたものから与えるのがおすすめ。
1日目は小さじ1程度、3~4日かけて小さじ3程度まで増やしてみてください。離乳食を与えた後は、食後の皮膚の状態やうんち、赤ちゃんの機嫌などがいつもと変わりないかを確認しましょう。また、離乳食後には、母乳や育児用ミルクなどを赤ちゃんが欲しがるタイミングで、1日4回程度を目安にあげて大丈夫です。
初めの2か月は、離乳食を飲み込み、食べものの味や舌触りに慣れさせる期間です。食べられる量が少なくてもあまり気にせず、無理のないペースで進めていきましょう。
<8~14日目>野菜、果物のポタージュを1品加える
おかゆを小さじ3程度食べられるようになったら、8日目からは小さじ4程度に増やしてみましょう。その頃からおかゆに加え、野菜や果物のペーストを一緒に与えます。野菜はかぼちゃやじゃがいも、にんじん、ほうれんそうなどがおすすめ。初めて与えるときは、小さじ1程度からスタートしてください。
まずは1種類小さじ1から始め、食べられそうであれば小さじ2に増やしてみましょう。野菜や果物はさまざまな種類を試し、やわらかく茹でる、すりつぶすなどのほか、お湯やだし汁、野菜スープなどの水分でゆるめるのもおすすめです。
<15日目~>野菜や豆腐などの食材の種類を増やす
野菜や果物を食べるのにも慣れてきたら、そうめんやうどん、トマト、さつまいも、豆腐など、徐々に食材を増やしていきます。ただし、初めて口に入れる食材は単品、もしくは既に食べたことがある食材と混ぜるのがポイント。豆腐は茹でてすりつぶしましょう。
初めは量を食べられないかもしれませんが、いろいろ試して慣れさせることが大切です。
<28日目以降~>白身魚、卵黄などを試す
離乳食にも慣れてきたら、続いて卵黄や白身魚などを試します。ただし、たんぱく質食材は食物アレルギーを起こす可能性があるため、小さじ1/4~1程度でまずはスタートしましょう。口に入れた後2時間ほどは、赤ちゃんに変化がないか見守ります。
卵はまず、固ゆでした卵黄を少量から試します。鯛などの白身魚は中までしっかりと火が通るくらいまで茹で、すり鉢でペースト状になるまですりましょう。そこへ茹で汁を足し、固さを調整することで食べやすくなります。また、塩抜きしたしらすを茹で、すりつぶしてペースト状にしたものも離乳食にぴったりです。
この時期になると、10倍がゆはすりつぶさず、そのまま食べられるようになるでしょう。おかゆに野菜や果物、たんぱく質のペーストを2~3品組み合わせ、1回分の離乳食として与えます。
離乳食の進め方(生後7〜8か月頃)
生後7〜8か月頃、離乳食を開始して1か月を過ぎた頃を目安に、1日2回食に進めましょう。進め方は以下を参考にしてください。
<3~4か月目>水分を減らした豆腐状の食べ物を与える
ポタージュ状のものをうまく飲み込めるようになったら、1日2回の離乳食を安定させる時期です。離乳食の移行期には少しずつ食材の水分を減らし、食感を変えていくのがポイント。舌でつぶせるくらいの豆腐の固さを目安にしましょう。
赤ちゃんが食べやすいよう、食材は初め2ミリ角程度のみじん切りに揃えます。8か月の終わり頃になると、3~4ミリ角程度の粗みじん切りに。おかゆは7倍がゆ(米1:水7)から、徐々に6倍がゆ(米1:水6)へと移行していきます。
ただし、食材の食感が変わり、食べ進みが悪くなるかもしれません。その場合は2回食のうち1回は食べ慣れたものを準備するなどの工夫をしてもよいでしょう。
主食である穀類にはバランス良く、野菜、果物、納豆や鶏肉(ひき肉・ささみ)などのたんぱく質食材を組み合わせます。食物アレルギーが出ないかに注意しながら、初めて口にする食材は少量から試してみてください。
離乳食を与えたあとには、母乳もしくは育児用ミルクもあげましょう。食後以外のミルクのタイミングは、赤ちゃんが欲しがるときに1日3回程度が目安となります。
離乳食の進め方(生後9~11か月頃)
生後9~11か月頃からは、1日3回の離乳食を安定させ、食事のリズムを作っていく時期です。
<5~7か月目>歯ぐきでつぶせる固さの食べ物を与える
豆腐くらいの固さの食材を飲み込めるようになったら、続いては歯ぐきでつぶせるものを増やしていきます。バナナくらいの固さのものを選び、自分で噛むことを覚えさせましょう。主食は5倍がゆ(米1:水5)に移行し、慣れてきたら少しずつ軟飯を与えます。
この時期は鉄分が不足しやすいので、赤みの肉や魚、レバーなどをうまく取り入れましょう。鉄の摂取を強化できるフォローアップミルクを利用するのもおすすめです。また、赤ちゃんが手で食べものを触るようになったら、手づかみのできるものを1品加えてみてください。食材に触れながら食べることで、口、手、目を使った動作を育むことができます。
味覚が発達してくる時期にはいろいろな食品を与え、味付けも工夫して味の体験をさせてあげることが大切です。3回の食事に慣れてきたら、大人と一緒に食卓を囲むのもよいでしょう。
離乳食の進め方(生後12~18か月頃)
形や固さがあるものをきちんと噛めるようになると、食後の母乳やミルクをあまり欲しがらなくなってきます。そんな生後12~18か月頃は離乳食の完了期です。ここでは、どんな食事に移行すればよいのかを見ていきましょう。
<8~14か月目>食事は1日3回と補食を与える
離乳食の完了期には、形や固さのあるものを噛みつぶすことができるようになります。軟飯を与えていた場合は、ごはんに移行してもよい頃。赤ちゃんが手で持って食べやすいよう、またのどに詰まらせないよう、食材をカットするなどの工夫をすることも大切です。
食べられる食材は増えてきますが、肉や魚、卵の生もの、カフェインを含むものなどは離乳食完了期に入ってからも避けてください。また、はちみつや牛乳は満1歳まで与えないように気をつけましょう。
1回の食事量が少ない赤ちゃんにとって、食事で摂取しきれない栄養を補うおやつは大切です。1日1~2回程度を目安に、量と時間を決めて与えましょう。いも類や果物、乳製品、市販の乳児用せんべい・ビスケットなどもおすすめです。
この頃になると、大人の食事を利用して変化をつけることもできます。子ども用を取り分ける際には味が濃くならないよう、薄味を心がけてください。1歳半頃には離乳食が終わり、幼児食へと移行していきます。
規格外野菜を使うなど、環境に配慮した離乳食も!
毎日の食事の準備は大変なので、手軽な市販品もうまく活用したいところです。野菜や果物を粉末状やフリーズドライにしたものは、水を加えるだけと手軽に使えて便利です。かぼちゃやにんじん、とうもろこしなどバリエーションもあり、冷凍庫にスペースがない場合も保管できる点がうれしいポイント。北海道産の野菜100%を使用したものなど、赤ちゃんに与える離乳食として安心できる商品も多く見られます。
また、規格外の野菜を離乳食に加工したものなど、環境に配慮した商品も販売されています。乳幼児期からエコロジーな食品を与えることで、子どもたちが生きる未来の環境を守ることにもつながるでしょう。