食品表示法とは?2022年までの改正を含めてわかりやすく解説

食品表示法とは?2022年までの改正を含めてわかりやすく解説

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消費者が食の安全性を判断するために必要な食品表示は、2015年4月から施行された「食品表示法」によって定められています。食品表示法は、これまで複数の法律で規制していた食品表示の基準が一元化された法律ですが、施行された背景にはどのようなものがあるのでしょうか。また、具体的に事業者はどのような表示義務が課され、私たちの買い物シーンにおいていかなる点が便利になったのか、わかりやすく解説します。

食品表示法とは?できた背景と目的

食品表示法
そもそも食品表示とは、食品に関する情報や安全性を消費者に伝えるための重要な表示です。2015年までの食品表示に関する法律は「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」で規制されていました。

しかし、これら法律は目的や性質が異なり、消費者や事業者がわかりにくい欠点があります。そこで、食品の安全性確保や消費者が納得して食品を選べるようになることを目的に、複雑化した法律を1つにまとめ、作られたのが「食品表示法」です。

食品表示法施行による変更ポイント

食品表示法の施行による変更ポイントは主に以下のとおりです。

・原材料にアレルギー症状を発症させる「特定原材料(小麦、卵、カニなど)」をすべて表示する

・熱量、タンパク質、脂質、炭水化物、ナトリウムなどの栄養成分表示の義務化

・原則、製造所の所在地や製造者の名称の記号表示は不可

・科学的な根拠がある場合、事業者の責任において「栄養機能食品」などの記載可能

・原材料と添加物を分けて表示することの義務化

食品表示と一括表示は別物?

「食品表示」と「一括表示」の違いについて疑問を持つ人も多いかもしれませんが、実はどちらも同じものです。前述したとおり、食品表示は商品に関する情報を伝えることを目的としており、下記のように記載すべき項目が決まっています。

・名称
・原材料名
・内容量
・消費期限または賞味期限
・保存方法
・製造者等の名称及び住所

このように、一括で情報を羅列することから一括表示と呼ばれることがありますが、指し示す内容は同じものです。同様に、裏ラベルや裏張りなどと呼ばれる場合もあります。

食品表示が義務付けられている食品

食品表示法
食品表示はどのような食品に義務付けられているものなのでしょうか。法律では「容器包装に入れられた加工食品」とされていますが、それらはコンビニエンスストアやスーパーに陳列してある加工食品のほとんどが該当します。

仕入れをし陳列しているお菓子や飲み物はもちろん、店内で作り販売しているお弁当やお惣菜も食品表示を必要とする場合があります。

食品表示はなぜ必要?

食品表示法
容器包装に入れられた加工食品に食品表示が必要な理由は、消費者が食品を選ぶ際に重要な情報を得られるようにするためです。流通が発達していない時代は、消費者は商品を選ぶとき、販売員に商品情報を聞けました。

しかし現在では、スーパーやコンビニエンスストアの販売員がこれらの情報をすべて把握することは難しく、食品表示無しでは消費者が正しく食品を選ぶことは困難です。とくに、アレルギーに関する情報は購入者の生命にかかわることもあるため重要な情報です。

なお、消費者の目の前で食品を容器に詰め販売する対面販売型の場合、表示義務はありません。なぜなら、販売員が消費者の質問に回答できるからです。

2022年までの食品表示基準の改正

2017年9月の食品表示基準は改正され、原料原産地表示の幅が拡大されました。これまでの原料原産地表示は22食品+個別品目(輸入品を除く)とされていましたが、改正により国内で製造されるすべての加工食品に対して表示義務が課されています。

ただし輸入品に関しては、従来どおり原料原産地の表示は必要ありません。なお、この改正は2022年3月までは経過措置期間としていましたが、2022年4月より完全適用となっています。

原料原産地表示制度とは?

原料原産地表示制度とは、加工食品に使用されている原材料の原産地を商品に表示する制度をいいます。原産地を表示しなければならない原材料として生鮮食品を使用している場合は「産地」、加工食品の場合なら「製造地」を表示しなければなりません。

なぜならこれらの情報も、消費者が安全な商品を合理的に選択するための要素として重要だからです。

この改正により、一部の加工食品にしか義務付けられていなかった制度が、すべての加工食品に適用され、消費者はより合理的に商品を選択できるようになりました。つまり、消費者はその表示を見て、納得感のある買い物ができるようになったのです。

原料原産地表示制度の概要と主な変更点

原料原産地表示制度の改正は表示義務の拡大だけでなく、より消費者が理解しやすい表示方法となるよう変更しています。大まかな変更点は以下の4つです。

①原産地を表示すべき原料は、輸入品を除くすべての加工食品の重量割合1位にあたる原材料が対象

②対象原材料の原産地が複数の場合、重量割合の高い原産地から表示するが、これが難しい場合は以下2つの表記が可能

③又は表記:原産地として使用可能性の高い複数国を、重量割合の高いものから「又は」でつなぎ表記する方法

④大括り表記:3カ国以上の原産地表記を「輸入」とまとめて表示する方法。なお、輸入品と国産品を混合して使用する場合、重要割合の高いものから表示する
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