プラスチックごみとは?問題現状や、私たちができる取り組みについて

プラスチックごみとは?問題現状や、私たちができる取り組みについて

  • icon
  • icon

現在、世界中でプラスチックごみが問題になっています。日本は、特にプラスチックごみを大量に排出している国のひとつです。プラスチックごみによって発生している問題を解決するには、プラスチックごみの排出そのものを減らす必要があります。この記事では、プラスチックごみにより発生している問題について説明したうえで、具体的な対策について説明します。ご家庭で取り組める対策も紹介するので、できることから始めてみましょう。

プラスチックごみ問題とは?

プラスチックごみ問題とは、プラスチックが原因となって発生しているさまざまな問題のことです。プラスチックは耐久性があって加工もしやすいため、身近なさまざまなところで利用されています。しかし、利用しなくなったプラスチック製品を処分する際にさまざまな問題が発生しています。たとえば、プラスチックを燃やすと発生する温室効果ガスは、地球温暖化の大きな原因のひとつです。

また、プラスチックの原料は石油です。石油は限られた資源であり、プラスチックを大量に製造し続ければ資源の枯渇につながります。さらに、捨てられたプラスチックが海へ流出し、海洋汚染も発生しています。海へ流れ出ているプラスチックの量はとても多い状況です。プラスチックの海への流出は、、海洋プラスチックごみ問題として、ごみ問題の中でも特に重大な問題として捉えられています。

プラスチックごみ問題の影響と現状

マイクロプラスチック ごみ
プラスチックごみによる海洋汚染は、深刻な状況になりつつあります。すでに1997年には「プラスチックごみの大陸」と呼ばれるプラスチックごみの集合体が海上で発見されました。大きい円を描く海流が流れる場所があり、さまざまな方向から流れてきたプラスチックごみが蓄積されています。

また、海に蓄積されているプラスチックごみの量は、2050年には魚の量を超えると予想されています。海にたくさんのプラスチックごみが漂流していると船の進行を妨げる原因になり、観光や漁業の妨げになる恐れもあるでしょう。

プラスチックごみ問題は単に海を汚すだけでなく、海洋生物にも悪影響を与える重大な問題です。小さく砕かれたマイクロプラスチックを海洋生物が誤って食べた場合、体にさまざまなトラブルが発生するリスクがあります。プラスチックには添加剤が使用されているうえに、プラスチックは化学物質を吸着しやすい性質があるためです。汚染物質を含むマイクロプラスチックを口にした海洋生物を人間が食べれば、人体にも汚染物質が蓄積されます。

日本のプラスチックごみ年間排出量の多さは世界2位!

日本は、世界のなかでも特にプラスチックごみを多く排出している国です。プラスチックごみを発生させる原因のひとつとして、使い捨てのパッケージにプラスチックが多く使用されていることがあげられます。プラスチックの生産量の内訳を見ても、袋や容器などのパッケージが最も大きな割合を占めています。日本のプラスチックごみの排出量は2019年で約850万トンでした。そのうちの約40%は使い捨てを前提としているものです。1人あたりに換算すると、日本人は1人につき毎年約32kgもプラスチックごみを排出していることになります。日本の使い捨てのプラスチックごみの量は、アメリカに次いで世界で2番目に多い状況です。

さらに、日本では、マイクロビーズ問題も深刻になっています。マイクロビーズとは、マイクロプラスチックよりもさらに小さい微粒子のプラスチックです。たとえば、洗顔料や歯磨き粉などにマイクロビーズが使用されています。マイクロビーズは下水処理施設のフィルターをすり抜けて海へ流出してしまうため、世界では規制の動きが強まっています。しかし、日本ではまだ規制されておらず、使用し続けている企業も一部存在している状況です。

プラスチックごみ問題の対策

プラスチックごみ問題は世界中で注目されており、さまざまな対策がとられるようになりました。日本は特にたくさんのプラスチックごみを発生させているため、独自にいろいろな対策を開始しています。ここでは、プラスチックごみ問題の対策について解説します。

日本の取り組み

プラスチック資源循環戦略は、資源循環によりプラスチックごみを削減するために環境省が推進しています。第四次循環型社会形成推進基本計画にて策定され、「3R(リデュース・リユース・リサイクル)+Renewable」を基本とした戦略が打ち出されました。具体的には、プラスチックごみをスムーズに回収して再び活用するための方法や、プラスチックごみの不法投棄をなくすための取り組みが示されています。プラスチック資源循環戦略では、2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入するという目標も掲げられています。

また、海洋プラスチックごみ対策アクションプランも、プラスチックごみ問題への対策として環境省が提示したものです。2019年に日本で行われたG20に先駆け、日本のプラスチックごみ対策について示されました。このアクションプランでは、プラスチックごみを減らすための具体的な取り組みがまとめられています。たとえば、専用のリサイクルボックスの設置や、プラスチックの処理やリサイクルを行う施設の整備などを推進するとしています。プラスチックごみを減らすために必要な技術開発や、プラスチックの代わりに使用できる素材を生産するための設備の整備についても言及されました。

世界の取り組み

マイクロプラスチック ごみ
世界では、日本よりも早い段階からプラスチックごみへの対策に力が入れられています。プラスチック製品の使用そのものを禁止するなどし、プラスチックごみの発生を根本から防ぐ工夫が行われています。たとえば、「EUプラスチック戦略」は、EUで使用されているすべてのプラスチック包装材を2030年までにリユース・リサイクルすることを目指す取り組みです。ドイツでは、2019年からプラスチックの容器やストローなどの使用が全面的に禁止されました。

アメリカでも、プラスチック製品の使用を規制する取り組みが行われています。州ごとに独自の対策が行われている点が特徴的です。たとえばカリフォルニア州では、小売店でのレジ袋の使用は禁止されています。ハワイ州でも、レジ袋や使い捨てのプラスチック容器の提供はできません。

さらに中国では、2017年から廃プラスチックの輸入を禁止しました。中国もプラスチックごみを多く排出しており、政府が主導する対策が始まっています。

プラスチックごみの分別とリサイクル

プラスチックを分別して処分すれば、リサイクルにより資源を有効活用できるというイメージを持っている人も多いでしょう。しかし、分別されたプラスチックは、実際はほとんどが燃料として再利用されているに過ぎません。プラスチックのリサイクルの約56%は、発電や暖房などへプラスチックを利用するサーマルリサイクルです。ペットボトルや還元剤などへリサイクルするケミカルリサイクルは全体の約4%、プラスチック容器や衣類などへリサイクルするマテリアルリサイクルは全体の約23%となっています。

リサイクルに力を入れるだけでは、プラスチックごみや二酸化炭素の量はあまり削減できません。よって、より根本的な対策に力を入れていく必要があります。

プラスチックごみを減らすために、家庭で私たちができること

マイクロプラスチック ごみ
プラスチックごみを減らすための取り組みは、家庭でも行えます。たとえば、普段からマイバッグ、マイボトル、マイ箸などを使う習慣を持つだけでも、プラスチックごみの削減に貢献できます。洗剤やシャンプーのボトルのごみを減らすためには、中身を詰め替えて使うと効果的です。また、食品を保存する際は使い捨てのラップではなく、繰り返し使用できるエコラップを使うのがおすすめです。

さらに、積極的にごみ拾いを行えば、プラスチックごみによる環境への影響を食い止めることに貢献できます。個人ではなかなかごみ拾いができない人は、ボランティア活動に参加するのもひとつの手です。できることから取り組み、プラスチックごみの削減を目指しましょう。
top