地球温暖化防止に向けて私たちにできること

地球温暖化防止に向けて私たちにできること

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ここ数年、集中豪雨、大型台風、猛暑など気候の変化による自然災害のニュースを耳にする機会が増え、世界中が地球温暖化の影響を目の当たりにしています。多くの人の命を奪いかねない地球温暖化は、早急に世界が取り組むべき問題です。ここでは、地球温暖化の原因や今後の予測について振り返りながら、一人ひとりが実践できることについてご紹介します。

地球温暖化の原因とメカニズム

太陽から地球に届く日射エネルギーの約7割は、大気と地表面で吸収されて熱に変わっています。地表面から放射された赤外線の一部は、大気中の水蒸気、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスに吸収されます。
現在は、温室効果ガスによって地球の平均気温は14℃前後に保たれていますが、温室効果ガスがない場合の地球の表面温度は、氷点下19℃と見積もられています。このように、温室効果ガスは生物が生きるために欠かせないものです。

しかし、近年産業が活発になり、二酸化炭素・メタン・フロン類などの温室効果ガスが大量に排出されて大気中の濃度が高まることによって、熱の吸収が増えているという深刻な問題が起こっています。この現象こそが地球温暖化です。これまで保たれていたバランスが崩れ、各地で気温が上昇し始めています。

人間はこれまで、石油や石炭などの化石燃料を燃焼させることによってエネルギーを生み出していました。しかし、化石燃料を燃やすことによって排出される二酸化炭素こそが地球温暖化の主な原因です。今後は、有効な温暖化対策を取った場合でも、わずかに気温は上昇する可能性が高くなります。しかし、何も対策を取らない場合は、将来的に世界の平均気温はますます上昇し続けると予測されています。

地球温暖化の現状と将来予測

気候変動を評価する政府間機関「IPCC」によると、大気中の温室効果ガスは、過去に前例のないほど増加しているとのことです。特に二酸化炭素においては、産業革命前の1750年から濃度が40%以上も増加しています。
ここ30年の各10年間の世界気温は、1850年以降、どの10年間よりも高温を記録しており、20世紀(1901~2010年)の間は、海面が19cmも上昇しています。今後も、地球温暖化の影響によって、2100年までに最大82cm上昇すると予測されています。

気温上昇が続いた場合、どんな影響がある?

IPCCの第5次評価報告書では、このまま気温が上昇を続けた場合の主要リスクとして、以下の8つを挙げています。


1.海面上昇、沿岸での高潮被害などによるリスク
2.大都市部への洪水による被害のリスク
3.極端な気象現象によるインフラ等の機能停止のリスク
4.熱波による、特に都市部の脆弱な層における死亡や疾病のリスク
5.気温上昇、干ばつ等による食料安全保障が脅かされるリスク
6.水資源不足と農業生産減少による農村部の生計及び所得損失のリスク
7.沿岸海域における生計に重要な海洋生態系の損失リスク
8.陸域及び内水生態系がもたらすサービスの損失リスク


出典:環境省地球環境局「IPCC第5次評価報告書について」

上記で挙げられたリスクは、温度上昇の度合いによっては、さらに大きな影響を引き起こすことも予測されます。私たちの暮らしにも大きな影響を与えるリスクとして、干ばつによる作物の生産高や利用可能な水が減少していくことが考えられます。さらに、熱帯の感染症拡大や種の絶滅リスクなどにも大きな影響を及ぼすでしょう。

日本にはどう影響する?

ここまでは世界規模の地球温暖化の原因や今後の予測について解説しました。日本では、どのようなことが起き始めているのか、将来はどのようになると予測されているのか、具体的な話題をいくつかご紹介します。

1.1年の3割近くが真夏日になる

環境省では、現在以上の温暖化対策をとらなかった場合、最高気温が30℃以上となる真夏日の日数がさらに増え、21世紀末には年間約103日、1年の3割近くが真夏日になることを予測しています。近年、熱中症患者は年々増加傾向にありますが、今後も真夏日が増加すると多くの人の健康リスクを脅かすでしょう。

2.感染症のリスクが上昇する

地球温暖化は、感染症リスクも上昇させます。例えば、2014年にデング熱が日本で流行しましたが、デング熱の感染を広めるのは蚊の一種である「ヒトスジシマカ」が原因です。年々生息域が北上しており、2035年には本州北端、2100年には北海道が分布域に達すると予測されています。ヒトスジシマカ以外にも、蚊が媒介する感染症は多く、日本脳炎、マラリア、西ナイル熱などのリスクも今後上昇すると予測されています。

3.農作物の品質が低下する

地球温暖化による気温の上昇や雨の降り方が変わると、農作物にも大きな影響を及ぼします。例えば、米の生産の場合、現在よりも気温が3℃以上上昇することによって、北日本を除いて減収していくことが予測されています。減収だけではなく米が白濁するなど、品質の低下も招いてしまうでしょう。果物も気温が高くなると色づきが悪くなったり、収穫時期が遅れたりするなど多大な被害を受けます。

気温の変化や雨の降り方に応じて、農家は農作物の種類や生産方法を変えていくなどの対応を迫られるでしょう。しかし、経済力のない小さな農家の場合、変化に対応し続けることが難しくなり、生産量の低下や廃業などが相次ぐことが予想されます。

私たちにできること

地球温暖化の危機は現在進行中であり、今後被害を拡大させないためにも私たち一人ひとりが早急に取り組みを始めなければなりません。難しいことのように思えますが、意外と身近で簡単にできることが多いので、できることから始めていきましょう。

1.省エネ家電に切り替える

私たちが普段使っている、エアコン、冷蔵庫、テレビなどの家電からも多くの二酸化炭素を排出しています。近年は電気のエネルギー消費量が少ない省エネ家電が普及しているので、切り替えていくのもおすすめです。

例えば冷蔵庫の場合、約10年前のものと比べると、電力使用量は大幅に削減されています。2000年に製造された501~550Lの冷蔵庫の場合、最新冷蔵庫に買い替えると年間最大約 375kgのCO2削減につながります。電気代も安くなり18,000円ほどの節約も可能です。もったいないから買い替えないという選択は、毎年18,000円の損失を生んでいることでもあり、実はそちらの方がもったいないかもしれません。

環境省の省エネ製品買換ナビゲーションしんきゅうさんでは、実際に買い替えた場合の比較ができるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

参照:省エネ製品買換ナビゲーションしんきゅうさん

2.再エネ重視の電力会社に切り替える

省エネ家電に切り替え、節電を心掛けていても、電気を多く使う企業や工場が多ければ意味がないと考える方も多いでしょう。しかし、電力会社の販売額は、低圧が提供されている一般家庭や中小商店などが属する区分が最も多いといわれています。

電力小売り全面自由化がスタートしてから、再エネの電気を多く使っている電力会社や再エネ比率の高い電気料金プランも多数登場しています。私たち一人ひとりが、再エネ重視の会社やプランに切り替えることによって、普及拡大につながり、地球温暖化防止に一役買うこともできます。

3.公共交通機関を利用する

自家用車の輸送量あたりの二酸化炭素排出量は、飛行機、バス、鉄道よりも効率が悪いといわれています。ちょっとそこまでの買い物や近距離であれば、自家用車ではなく、徒歩・自転車・公共交通機関を利用しましょう。特に自転車は温室効果ガスを排出しないクリーンな乗り物です。環境だけではなく健康にも良いので、ぜひ活用してみましょう。

4.日々のもったいない行動を見直す

私たちは、自分でも気づかないうちに「もったいない」行動を繰り返しています。一つひとつの行動を見直し、多くの人が改善することで地球温暖化防止に貢献できます。例えば、毎日購入しているペットボトル飲料をマイボトルに変えるだけで、月数十本のペットボトル削減が実現します。マイバッグ、マイボトル、マイ箸、マイストローなど、使い捨てをしない心がけも大切です。

また、食品ロスは生ごみとして焼却処分されるため、多くの二酸化炭素を排出します。外食の際は適量を注文できる店にする、自宅では買い物や保存方法を工夫することも大切です。今持っている服やバッグを長期間大切に使うことも私たちにできる地球温暖化対策といえるでしょう。

5.旬のものを食べる

例えば、夏野菜を秋冬に育てるにはハウス栽培が必要で、非常に多くのエネルギーを使います。私たち一人ひとりが旬のものを食べるという取り組みを行うだけで、エネルギーの使用料を抑えることにつながります。

6.植物を育てる

都市部は緑が少なく、気温が周辺よりも高くなるヒートアイランド現象が起こります。緩和するためには、植物を増やすことが有効です。

一人ひとりがベランダや庭で植物を育て、緑を増やすことによってヒートアイランド現象を緩和できます。野菜や果物を育てれば、購入する手間が省け、農作物を輸送するにもエネルギー削減にも貢献できるでしょう。夏にグリーンカーテンを作れば、日差しをカットすることにもなり、室温の上昇を防いでエアコンの設定温度も上げられます。お米のとぎ汁、お風呂の残り水、エアコンの室外機から出た水を使って植木の水やりに活用する人もいます。
ここで挙げたのはほんの一例です。一人ひとりが実践するだけで大きな力になります。小さいことも含めてコツコツとできることから始めてみましょう。
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