ニッポンの頭脳、技術開発者・萩原忠先生の発明家人生と未来への想い <後編>

ニッポンの頭脳、技術開発者・萩原忠先生の発明家人生と未来への想い <後編>

  • icon
  • icon

インターホールディングスの事業を語る上で欠かせない“真空特許技術”。これは、技術開発者・萩原忠先生から始まりました。今回は、インタビュー後編として、萩原先生の発明への想いや大切にされてきたモットー、未来を創る世代へのメッセージをご紹介します。

前編では、インターホールディングスと萩原先生の関係、そしてこの素晴らしい真空特許技術が生まれるきっかけや開発過程について、開発者の視点で語っていただきました。

今回は、萩原先生の生き方や今抱く夢、未来を創る世代へ向けたメッセージをお話しいただきました。
前編のリンク

技術開発者・萩原忠先生にインタビュー - 後編 -

必要なものは紙と鉛筆と電卓だけ

先生の発明の必需品は?

萩原先生:方眼用紙に電卓と鉛筆。パソコンは触ったこともないね。これ以外には、何も必要ない。
(先生はパソコンは触ったこともなく、旅行中でもどこでも、紙とペンがあるとすぐアイディアを考えてしまうそう)
戦争経験が発明に生かされていることはありますか?

萩原先生:ありますね。戦争によって歳上がいない状況が、結果として自分に技術者としての経験や主導する力をつけさせ、技術の引き出しとして積み重なって今の発明に生かされていますね。

ー 上がいないとはどういうことですか?

萩原先生:自分より年上は戦争に召集されていたため、上は誰もいなかった。行かなかった60歳の人がいるだけ。だから、誰にも聞くことができなかったね。

ー 先生がリードしてやらねばならない状況だったと。

萩原先生:そうだね。当時の会社で行っていた水道メーターの開発から何から、全部自分が主導しておこなって周りが聞きにきていた。その経験が自分の引き出しを増やし、今もひらめきを与えてくれています。

当時勤務されていた株式会社金門製作所時代の辞令。ここで水道メーターの開発に携わる。

92歳の今、抱く夢とは

先生の原動力はどこからくるのですか?

萩原先生:いろんな人たちが自分に「先生、これできませんか?」と“発明のタネ”を持ってくる。それに対して「よし、やるぞ」と闘志が湧いてきます。頼まれたら絶対にできないとは言わない、全て受けて立とうという“闘志”が、自分を駆り立てています。

「先生、これどこにもないけど実現させたいから、先生に作ってほしい」という、彼らの一言はすごく気になる。このやりとりが、私にとって一番の原動力ですね。
発明家として大切にされているモットーはありますか?

萩原先生:謙虚であること。ただ、黙々と作りたいね。
今後の夢はありますか?
萩原先生:1日も早く、インドやアフリカに行きたいですね。実際に現地の人たちにやり方をおしえて、目の前の困っている人たち、技術を預かっている人たちから、「先生、ありがとう」と言われる瞬間に立ち会いたいですね。
未来を創る世代へ向けてメッセージをお願いします!
萩原先生:今からでもいいから、自分の人生や生きた証を、大切に残してほしいですね。そして、子供が大きくなったらそれを伝えてあげること。

私は習慣でやっていたが、見返すとその時々のことを覚えていたりして振り返ることができる。

先生のスクラップブック。幼い頃の写真から卒業証書、喫茶店のマッチ、領収書や辞令まで、先生の歴史が詰まっている。

萩原先生:自分を紹介できることで、人生の渡り方や証を相手に伝えることができるし自分のことも大切にできる。小さい頃から繋がっていて訓練をしてきているから、自分の人生を語ることができるんです。

人生の生き方と、その証拠をどうやって残すか。どうやって残してきたのか、私を見てをお分かりいただけたかなと思います。ぜひ、自分を大切にして欲しいですね。

人を動かすのはその人の「情熱」

ハジー技研オフィスにてインターホールディングス代表の成井と。

インターホールディングスへの権利譲渡について

ー 最後の質問になります。インターホールディングスへ真空特許技術の権利譲渡までに約3年。どうして譲渡いただけたのか、率直にお気持ちを聞かせてください。

萩原先生:やっぱり、その人の情熱だけです。私もお金でやっているわけじゃないから。相手が命懸けで、人生をかけてやっているかどうかで決めて、それに賭けます。

ー その想いが先生を動かすんですね。

萩原先生:そうです。「どうぞやってください」と送り出すような気持ちですね。
人生をかけて動いてくれている人を私は応援してあげたいし、徹底的にカバーしたいと思っている。インターさんのメンバーはみんな人生かけてやっているとわかってるから、お願いすることにしました。

できることを1つずつ、地球の未来のために

たくさんのお話をさせていただく中で、社員の方からもたくさんのお話を教えていただきました。その中で印象に残っているのが、
この真空特許技術の構想は、先生の中では30年前ぐらいにはもうできていたそう。違う技術で特許をとっているものは他にもあるが、先生の真空率を誰も再現できてないのは、この技術がコロンブスのたまごのように超シンプルだから。
先生の技術を真似ようとしても、シンプルに削ぎ落とされた最終的な「答え」のようなものを出してしまっているから誰も真似できない。複雑にするより、削ぎ落としてシンプルにすることははるかに難しい、と。
真空にする機械はたくさんあるけれど、どれも大規模なものや扱いが難しいことが多いのが現実です。その中で、今回インターホールディングスが権利譲渡いただいた先生の真空特許技術発は、

1.誰でも
2.簡単に
3.どこでも
4.何度でも


使うことができる、他に類を見ない技術なのです。電気も道もないような過酷な場所で貧困に苦しむ人たちも、災害で困っている地域でも、地球のために何かしたいと思っている私たちの生活の中でも。

インターホールディングスの事業によって、みなさんの生活の中で真空技術が身近なものとして定着し、地球の環境課題解決に貢献すべく活動をしています。ぜひ、今日からでも自分たちができることを1つずつ行い、私たちでより良い未来を創ることができたらと思います。
top